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expertFORUM 中学受験家庭教師-『空を飛んだオッチ』-国語専科
「空を飛んだオッチ」 海老沢泰久
「人は理解できないものは受け入れられない生き物だ」という
そういうある日です、オッチは真理子の家に招待された。
「あなたがオッチね」
「真理ちゃんに泳ぎを教えてくれたんだって?」
「あまり危ないことは教えないでね。真理ちゃんは普通の子供とちがうんだから」
オッチは困って真理子のほうを見た。真理子は口をとがらせて怒っていた。
問 「オッチは困って真理子のほうを見た」とありますが、この時の「オッチ」の気持ちを答えなさい。
ハンバーグなんかあまり食べたことがなかったので、とてもうれしかった。オッチはいい気持ちになり、ピョコタンといった。
「ピョコタンはどんなふうに標本しているのか見てみたいな」
「すごいな、ピョコタン」
とオッチはいった。
「こんな標本箱はだれも持っていないよ、ピョコタン」
「ピョコタンというのはどういうことなの!」
オッチはぜんぜんわけが分からなかった。しかし真理子をピョコタンと呼んだことがおかあさんをおこらせたらしいことは分かった。どうしてなのだろうと考えていると、真理子がかわりに答えた。
問 「オッチはぜんぜんわけが分からなかった」のはなぜですか。
「わたしがぴょこたんぴょこたんと体をゆすって歩くからよ、おかあさん。それがどうかしたの?」
「どうかしたのって、真理ちゃんはそんなこといわれて平気なの?」
「平気よ」
「びっこといわれてからかわれるのと同じことなのよ。それがどうして平気なの?」
真理子のおかあさんは、興奮して、こんどは真理子からオッチのほうに顔を向けた。
「おばさんはね、あんたが真理ちゃんにやさしくしてくれているときいたから、ごはんを食べさせてあげたり、ジュースをあげたりしたのよ。でも本当はからかっていたのね。そうなんでしょう。おばさん、かんべんしないからね」
オッチは思わぬなりゆきに身がすくみ、声も出なかった。すると真理子のおかあさんはますます興奮してオッチを非難した。
問 「思わぬなりゆき」とは、どういうことですか。
e: 「なりゆき」の意味は分かりますよね?
F: 「なりゆきにまかせる」なんていいますからね…
e: 簡単に言えば、”雲行きが変わってきた”
F: 「思わぬ」がそうですね。
e: 思ってもみない方向に…
F: 真理子のお母さんの”雲行き”が
e: ”怪しく”?なってきたということでしょう。
F: 今まで”晴れていた”のに”曇ってきた”
e: ”低気圧”の到来?
F: ”友好的関係”から
e: ”敵対的関係”に?
F: ”平和的なムード”から
e: 「ピョコタン」で一変して
F: ”険悪なムード”に……
e: 「あなたがオッチね」
F: 「真理子のおかあさんがニコニコしながらいった」から
e: ところが、「あまり危ないことは教えないでね」とチクリ!
F: 「ハンバーグなんかあまり食べたことがなかったので、とてもうれしかった」
e: で、思わず「オッチはいい気持ちになり、ピョコタンといった」!
F: 不用意に…
e: それも、何度も言ってますからね……
F: 「ピョコタンというのはどういうことなの!」
e: 「?」じゃなく、「!」ですから!
F: 「おばあさん、かんべんしないからね」
e: 「オッチは思わぬなりゆきに身がすくみ、声も出なかった」
「なぜ答えないの!強情な子ね」
「やめて、おかあさん」
真理子がいった。
「真理ちゃんはだまってなさい。この子にだまされているんだから」
「オッチは真理子をだましてなんかいないわよ」
真理子はおかあさんに抗議して泣きだした。
「からかってもいないわ。オッチは真理子のことが好きなんだから」
「じゃあ、どうしてピョコタンなんていうの?」
「真理子がぴょこたんぴょこたんと歩くからよ。いいじゃない。真理子はぜんぜんはずかしくないわ。それにオッチがいうんだったら、真理子は何ていわれたって平気なのよ」
「どうして?」
真理子は体をふるわせて抗議した。
「足がわるいのは真理子よ。おかあさんじゃないわ!」
「おかあさんだって真理ちゃんと同じ気持ちなのよ。おかあさんが真理ちゃんの足のことをぜんぜん気にしてないとでも思ってるの?」
問 「おかあさんだって真理ちゃんと同じ気持ちなのよ」とありますが、「おかあさん」と「真理子」の、それぞれの気持ちの違いを答えなさい。
e: 親の気持ちは子は解らない!
F: 同じく、子の気持ちは親は知らない!
e: 「足がわるいのは真理子よ。おかあさんじゃないわ!」
F: 「おかあさんが真理ちゃんの足のことをぜんぜん気にしてないとでも思ってるの?」
e: 「ちがうわよ。もう足のことはほっといてといってるのよ」
F: 「真理子は足はわるいけど、普通の人とどこもかわっていないんだから」
e: 真理子のおかあさんは”バリアフリー”的発想?
F: 真理子は”ノーマライゼーション”的考え?
e: そこまでは解りました。さて、どう書けばいいかですね。
「ちがうわよ。もう足のことはほっといてといってるのよ。真理子は足はわるいけど、普通の人とどこもかわっていないんだから」
「真理ちゃんはまだ子どもだから分からないの」
問 「真理ちゃんはまだ子どもだから分からないの」とありますが、これはどういうことですか。
オッチは二人のいい合いをきくのも、真理子が泣くのを見るのも、真理子のおかあさんにしかられるのも、みんないやだった。オッチが帰るよというと、真理子は泣いたままでごめんなさいごめんなさいといったが、おかあさんは二度とこないでといった。
オッチは走って真理子の家を出た。そしてそのまま自分の家まで走りつづけた。走っているうちに、なぜかなみだが出てきて止まらなくなった。
問 「走っているうちに、なぜかなみだが出てきて止まらなくなった」とありますが、この時の「オッチ」の気持ちを答えなさい。
口惜し涙ばかりではなかった。
真理子がおかあさんといい合いをしているときに<オッチは真理子のことが好きなんだから>といった言葉を思い出したのだ。
オッチはあまくせつない気持ちになり、そのためのなみだも流したのだった。
問 「走っているうちに、なぜかなみだが出てきて止まらなくなった」の「なみだ」、「口惜し涙」の「涙」、「オッチはあまくせつない気持ちになり、そのためのなみだも流したのだった」の「なみだ」のそれぞれの違いを答えなさい。
e: 二つの「なみだ」はひらがなですね。
F: もう一つの「涙」は漢字で書かれています。
e: ”違い”はあるんですか…
F: 前に、「オッチはあわてて真理子のそばへ行き、手をにぎってやった」の「にぎって」はひらがなですね。
e: ところが、「まもなく真理子は、オッチが手を握っていてやれば、バタ足で前に進むことができるようになった。」の「握って」は漢字ですね。またどうして?作家の”気まぐれ”?
F: じゃないでしょう!もちろん、それぞれ理由があって
e: ”使い分け”ている!?
F: 「ひらがな」だったのがカタカナになったり、とか…「設問」になったりもします。
e: 「なぜカタカナになったのですか」とか?
F: 「なぜカタカナなのですか」とか?
しかし真理子とはもう学校がはじまるまで会えないだろうなと思った。夏休みはまだ二週間も残っていた。
問 「夏休みはまだ二週間も残っていた」とありますが、この時の「オッチ」の気持ちを答えなさい。
e: プロレタリア無産階級とブルジョア有産階級?
F: 「おばさんはね、あんたが真理ちゃんにやさしくしてくれているときいたから、ごはんを食べさせてあげたり、ジュースをあげたりしたのよ」
e: こんなこと言われたオッチは傷つきますよね。
F: 「この子にだまされているんだから」ともいってます。
e: オッチの心は”踏んだり蹴ったり”され無惨な形に歪んでしまったでしょうね…心中を察します。男として……
F: 庶民と資産家の
e: 意識のズレ?
F: 感覚のギャップ?
e: オッチと真理子の間ではまだ感じないが…
F: ところが、真理子の母親が
e: ”介入”してきたことがちょっとした”きっかけ”になることがあるんですね…
F: ”格差”の芽生えでしょうか?
e: ”較差”から始まって?
F: 身分差が意識化に!
e: 子供心に!誰かが言ってましたね。そう言えば。
F: ”差別”の……
e: これも”区別”からまことしやかに始まって…
F: 深層から表面下に…”羨望””いじめ”
e: 無意識から意識下に?”嫉妬””いじめ”
F: 空を飛べるオッチと足の不自由な真理子
e: 庶民と金持ち
F: この二人を登場させることで
e: 海老沢泰久は何を訴えたかった?
F: この物語の主題は何か?
e: テーマですね…『窓際のトットちゃん』
F: また出ました!?
e: やっぱりキーワードは”なみだ”ですか?
F: こっちの”涙”ではなく……?
ことを理解できなかったオッチ。
原作とはちょっと内容は異なるがそれも愛嬌かな。画一的で事なかれ主義的な学校、価値観を押し付ける大人達が上手く描かれていて小学生の子を持つ親として「ある!ある!」と共感したりわが身を反省したり。(by きょんきょんぶ-)
集合的無意識は閉鎖された環境でこそ、より人を傷つけてゆく。
感性の知性化を追求する創造的言語グループ
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