国語専科-石田衣良 『5年3組リョウタ組』-中学受験家庭教師
石田衣良 「5年3組リョウタ組」
教師だって、男子なのだ。
心に問題を抱えた元也は度々授業中にだまって教室からでていくようになった。危機感を持った担任の中道良太は、元也ときちんと向き合うために、一週間、クラスを他の先生に任せ、屋上で元也と二人きりの授業をする。その最終日の夕方、元也の両親と校長、良太、学年の先生たちが話し合いをしている場に、元也が加わった。
「おとうさんはいつもいつも、俊也にいちゃんとぼくを比べてばかりだった。運動だって、学校の成績だって、お受験だって、すべてにいちゃんのほうがよくできる。うちの子なのに、なんでおまえはできないんだ。死ぬ気で、もっとがんばれって……」
途中で元也はしゃくりあげ始めた。
「ぼくだって、がんばってるよ。でも、できないことはできないんだ。それなのにおとうさんは、ぼくのことを否定した。生きてる価値がない。うちの家には必要ないダメ人間だ。将来だってきっと意気地のない人間になるって」
小学校5年生の男の子が、声をあげて泣き始めた。
問 「声をあげて泣き始めた」時の「元也」の気持ちを答えなさい。
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クラス競争で連続してビリを争っている良太には、元也の気持ちがよくわかった。人はほんのちいさな競争に敗れるだけで、自分の弱さに打ちのめされるものだ。そういうとき追い打ちを掛けるように優秀な誰かと比較されてはたまらないだろう。頭はいいが、この子はまだ十歳なのだ。元也は叫んだ。
「ぼくだって希望の丘で、がんばろうしたよ。でも、もっともっとやっているうちに、教室で息ができなくなったんだ。苦しくて、ほんとに息が吸えなくなるんだよ。教室が真空になっちゃうんだ」
元也は身体を硬くして、パイプ椅子に縮こまっていた。もともと小柄だから、そうしていると小学校低学年の子のように見える。
問 「元也は身体を硬くして、パイプ椅子に縮こまっていた」とありますが、この時の「元也」の気持ちを答えなさい。
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このままひとりにしておいてはいけない。良太はそう感じて、冷たく銀色に光るパイプ椅子の横に座りこんだ。震える肩にそっと手をのせる。子どもにふれるときは、いつだって熱量に驚くものだ。けれども、そのとき元也の薄い肩は高熱でもあるかのように熱かった。
「ぼくはおとうさんがいうように医師とか弁護士とか会計士とか、シがつくような仕事はやりたくない。そんなにお金が儲からなくてもいいし、みんなから尊敬されなくてもいい。勝ち組とか負け組とか、そんなのどうでもいいんだ。でも、これ以上苦しいのは嫌だ。息ができなくなるのも、屋上でひとりぼっちでいるのも嫌だ」
問 元也が「シがつくような仕事はやりたくない」と言っているのはなぜですか。
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問 「これ以上苦しいのは嫌だ」とありますが、「元也」は何が原因で苦しんでいるのですか。
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初めて元也が顔をあげた。良太のほうをしっかりと見る。
問 「良太のほうをしっかりと見る」とありますが、この時の「元也」の気持ちを答えなさい。
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石田衣良『4TEEN』(新潮社)所収「空色の自転車」石平庄一19600326(48)江戸川区出身両国高校成蹊大経済広告制作会社コピーライター『池袋ウェストゲートパーク』デビュー(00TVドラマ化)1997オール読物推理小説新人賞『4TEENフォーティーン』03新潮社直木賞『約束』04角川書店『アキハバラ@DEEP』04文藝春秋『下北サンデーズ』06幻冬社
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感性の知性化を追求する創造的言語グループ
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